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2008年4月

連作5:湘南新宿ライン、逗子行

悟です。今日は春華と鎌倉デートです。一緒に来ればいいのに、なぜか現地集合がいいということで、今は電車を待っています。きっとどこかに春華もいるんでしょうけど、現地集合なんだから探さないでって言われているので、探しません。ゆっくり本でも読みながら向かうことにします。先週TSUTAYAで見つけた森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』。まだちょっとしか読んでないけど、独特の雰囲気を持ってて、話の中に吸い込まれそうな素敵な文体なんです。あ、電車が来ました。

真向かいのシートでマスカラ塗っているあの娘はどこか綾子に似てる

ミルクチョコ色したブーツはガニ股で16ビートを愉快に刻む

横浜で降りることなくマスカラの彼女はプルプルグロスをつける

乗ってから東戸塚で降りるまで30回は鏡を見てた

頬染める桃色チークのマフラーが鎌倉行の風に流れる

余所行きのばっちりメイクが大船へ向かう電車で作られていく

もう二度と会うこともないさよならの香りが残る2m先

あの娘じゃないどこの誰ともわからない誰かが座り降りてく大船

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花の後

雨が花を散らせていく

雨が花の季節を終わらせていく

  

涙も何かを散らせるのだろうか

涙も何かを終わらせるのだろうか

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連作4:春待ちの丘

悟です。ぼくのアパートのすぐ裏手に「春待ちの丘」と呼ばれる場所があります。どこよりも春を待ち望み、待ちきれなくて思わず春になっちゃうからそう呼ばれてるんだそうです。大学時代に春華と一緒によく遊びに行きました。本当に周りよりも春が早く来るんです。そこだけたくさんの花が咲いたりして。魔法でもかかってるのかもしれません。春に恋する禁断の魔法が。

花たちにまた来てねってささやかれ今年も来ちゃった春待ちの丘

初恋の相手はたぶん春だった思えば変だ季節に恋して

マフラーもコートも冬に脱ぎ捨てて一足お先の春に寝転ぶ

春用の心が働くあの雲は卒業式の桜に似てる

そういえばいつも春華が横にいて春が似合うと毎年思う

冬だって思えば今日も冬だけど春だと思うから春なんだ

真ん中の桜に付けた正の字は付き合い始めて五年のしるし

たくさんの春の花は咲く電話して足りない華にすぐ来てもらう

君を呼ぶ季節の魔法「春ですよ」発動条件恋してること

「春ですか?」「ええ、春ですよ」「そうですか。」「ウキウキするでしょ?」「ウキウキしますね」

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